人の世の悪魔を生む親は、人間自身
今日はマジ暇なのでによる
血縁が鍵となる横溝ミステリー絡む記事2本目だ
ストーリー銀幕の大スター鳳千代子は、過去四人の男と結婚して別れており、目下五人目の男、飛鳥忠煕と恋愛中であった。
そして、その三番目の夫、槇恭吾が死体で発見されたのが、昭和35年8月14日だった。
飛鳥忠煕から事件調査の依頼を受け、現場に駆けつけた金田一耕助が見たものは、茶卓の上に意味ありげに散らばった朱色や緑色のマッチ棒であった。
テレビドラマ
・横溝正史シリーズII 『仮面舞踏会』 全4回 (1978年6月3日~6月24日、毎日放送・東宝)金田一:古谷一行
・出演:草笛光子(鳳千代子)、木村功(飛鳥忠熙)、乙羽信子(笛小路篤子)、村地弘美(笛小路美沙)、皆川妙子(桜井熙子)、若尾義昭(桜井鉄雄)、露原千草(村上多岐)、津野哲郎(村上一彦)、久保明(笛小路泰久)、小笠原弘(槇恭吾)、佐原健二(津村真二)、柳生博(マネージャ古田)、内田稔(的場英明)、三ッ木清隆(田代信吉)、太田黒久美(看護婦ミチ)、田中幸四郎(日比野捜査主任)、柿沼大介(刑事)、長門勇(日和警部)。
補足
本作の時代は昭和35年(1960年)に設定されており、金田一耕助が活躍する長編としては、比較的に新しい時代となる。軽井沢の別荘地を舞台に、旧華族、芸能人、音楽家、学者らを登場人物として、横溝長編としては怪奇色を極力抑えた作品である。警察側に屈折した若手エリートを配したり新機軸も多い。しかしながら、他の代表作である『犬神家の一族』や『獄門島』などと同じく、第二次世界大戦や血縁というものが重要な要素となっている。
( Wikipedia:『仮面舞踏会 (小説)』より引用)
これまたネタバレ記事なので、堂々と書くと
(物語知らん人、いま知りたくないなら、ココで逃げろ)
真犯人は、笛小路美沙だ
と日記には書いておこう
(上の行の意味わからん人、以下を参照)
村地弘美hiromi murachiCM「龍角散トローチ」~伝説のミチコさん
笛小路美沙、16歳の美少女
鳳千代子と最初の夫、笛小路泰久との間に生まれた一人娘
原作では、金田一さんの推理を超えたトンだ食わせ者はひとまず置いて
ドラマは最後、「生まれて来なければ良かったんだ!」
という絶叫とともに発せられた3発の銃弾による
何とも悲哀に満ちた幕切れを迎えた
女子には稀な色盲を背負って生まれて来た美沙
色盲自体に罪はなく、美沙の責任でもないのだが
美沙の場合、色盲であってはならない秘密を抱えていたのよ…
笛小路泰久は元子爵で、華胄界出身の映画スターであった鳳千代子は、美人画における大家と新橋の名妓の間に生まれた
共演映画で恋に落ち、泰久の母・篤子の反対に遭って駆け落ち
昭和18年、泰久が戦争に応召し、翌年に千代子が美沙を生んだことで
泰久にもしもの事態起きれば、笛小路家の後が絶えるため
千代子は入籍を許され、美沙は篤子に引き取られた
戦後、泰久と千代子は離婚
大女優として成長を遂げる千代子に対し
泰久は大根に近い美男スターでしかなく凋落し
甲斐性なしの泰久に才媛である千代子は負担だったらしい
円満に別れるも、泰久はその後、職を転々とする日々
自動車ブローカーのようなこともやったというが
昭和34年春、詐欺罪に問われるまで没落し
同年夏8月15日、軽井沢のプールに水死体で発見された
そして、1年経ち、昭和35年8月15日を中心に
新たな悲劇が開幕を迎える
…上段から、美沙の秘密が読み取れるでしょ
わからん?アナタ、mathichenさん以上のド近眼?
ったく、そんじゃ、以下でどお?
「鳳千代子は、美人画における大家と新橋の名妓の間に生まれた」
「(泰久は)自動車ブローカーのようなこともやった」
女子の血友病は、え~と
男子、女子ともに必ず血友病になる」
「色盲の遺伝質を持った母親と色盲の父親の間に生まれた女子だけ」
正確な内容は各自で検索してよと逃げを決め込んで置き
女子の色盲発症条件を、美沙に当てはめれば、何が見える?
「画家の娘である千代子に、色盲の遺伝子は考えられない」
「泰久は、自動車ブローカー=運転免許を持つ
早い話
「美沙は、笛小路泰久と鳳千代子の間に生まれた娘ではなかった」
原作で美沙自身が田代信吉に語っているように
美沙という少女は、祖母・篤子の貪婪満たす道具であった
何十代も続く旧家に嫁いだ篤子夫人
妾腹である泰久、つまり正妻の血を分けていない子を育てたりなど
婚家の窮乏も加わり、篤子夫人なりに苦労を重ねたものの
特権階級特有の傲慢さを持ち、華族への恩典や栄典に執着し
是が非でも失いたくなかった浅ましさも事実であり
甲斐性なしの泰久でなく、嫌っているが生活力旺盛な千代子が頼りで
千代子が美沙のため入れる大金を、絶対手放したくなかった
それだけに、昭和20年6月28日の夜、途方に暮れてしまう
その夜、疎開先の岡山が大空襲を受け、本物の美沙が死んだ
いや、篤子夫人は東京での空襲にも遭っているから、そちらで?
どちらにせよ、篤子夫人は、千代子との唯一の絆である美沙を失った
千代子を繋ぎ止めるためには…身替りを探し出し連れて来るのみ
戦乱の中、誰にも知られず子供を盗むは簡単な話
美沙の身替りは見つかり、篤子夫人は千代子を失わずに済んだ
だが、よりによって色盲の子を連れて来たため
美沙の秘密が知れる時、篤子夫人の欺瞞が暴露されるため
喘息の他何かと病弱な孫を養護する慈愛深い祖母を演じることで
美沙を実質的に世間から隔離し、秘密と欺瞞を守り抜こうとした…
篤子夫人もまァ、原作では、美沙に騙されてた面が見られ、哀れだ
残虐的行為には同情の余地ない美沙とて、背景は哀れよ
篤子夫人の腐心が完璧とはゆかず
諸々の経緯から、千代子の夫たちに
美沙の色盲=千代子の実の娘でないが知れてしまうのね
(なお、『血液型の矛盾』も重要であった
泰久は、O型。千代子は、A型。美沙は、B型
O型の父親とA型の母親の間に、B型の子供は生まれない)
男たるもの、女の名誉守るべく、千代子にフラレ男を演じてやったが
「一体、ドコで、どんなドラ猫と、ナニして来たんだ?」が本音であり
美沙に対しては、文字通りどこの馬の骨とばかりの目を向けた
一応は実父である泰久に至っては、娘に手を出すケダモノぶり
ま、美沙は美沙で、見た目に合わぬフシダラ小猫
お下品なので説明は省くけど、弱点を知られちまい
オシトヤカなお嬢様戦略に支障きたすので、泰久を始末し
一応は継父たちをも手にかけていった
(継父の一人は、偶然の事故であった可能性高いけど)
とはいうものの、フシダラ小猫なりに、色盲を苦悩していて
(原作では、暴露された瞬間、精神的奇形が精神的絶望を伴い
まだ16歳の美少女が一転、世にも醜悪な形相を呈する)
継父の一人から「どこの馬の骨か牛の骨か知れん」と知らされ
美沙自身にはどうしようもない運命背負わされていたを見ると
真に罪を問われるべきは、我欲のためだけに生きた篤子夫人かいな
人生とは、人とは、仮面舞踏会のようなものかも
騙し騙されは多かれ少なかれ、皆演じるのだろう
しかしながら、知らぬ間に被らされていた仮面、その辛さは?
それを無理やり外そうとしたり、甘受したりすれば、思わぬ悲劇を招く
‘仮面舞踏会’を、‘悪魔が来りて笛を吹く’と合わせ見ると
ある人間の存在と、その者を取り巻く環境は曖昧で儚いと感じるだけに
その者を人の世に送り出す側の責任が如何に重いか、知れるよね…